株式会社トモズ
多様な個性のキャリアアップを後押しする人事制度へ ――改定2年目、運用フェーズの“リアル”とは

いつも的確なアドバイスをいただき、満足度は非常に高いです
執行役員 経営企画部 総務人事部 システム部分掌
中尾 歩

経営層との橋渡し役になっていただけたおかげで議論がスムーズに進みました
総務人事部 副部長
狩野 淳司

ご提案を機に始まった評価会議が、今ではすっかり定着しています
総務人事部 エキスパート 管理栄養士
宮腰 久美
関東を中心に「Tomod’s」など250店舗以上を展開するドラッグストア、トモズ。業界内の競争が激しさを増す中で、同社は2023年、人事制度の抜本的な見直しに踏み切った。「等級」「評価」「報酬」の3本柱を軸に構築された新制度は現在2年目を迎え、運用のフェーズに入っているが、現場ではどのような変化が生まれているのか。制度の改定を支援し、フォローアップを継続してきたFMHRのコンサルタントを含むプロジェクトメンバー5人が集い、運用の“リアル”と、そこから見えてきた成果と課題を語り合った。
業界動向・経営戦略に合わせ、「個の成長」を後押しする制度に改定
FMHR 武藤 御社の人事制度改定のプロジェクトを支援させていただいたのが2023年のことでした。今回は制度導入後の「運用」面を中心にお話を伺います。まずは御社の概要と、当時どのような課題感からスタートしたのか、振り返っていただけますか。
狩野 当社は関東を中心として「Tomod’s」などのドラッグストアを250店舗以上展開しています。人事制度改定のきっかけの一つとなったのが、従業員サーベイでした。「自分は正しく評価されていない」と感じている従業員が多かったんです。それを受けて、「きちんと実力を発揮している人に報いる制度にしよう」と制度改定を決断しました。FMHRからご提案いただいた「等級」「評価」「報酬」という3本柱を軸に、制度設計を進めていきました。
FMHR 山田 当時は御社の経営戦略もちょうど過渡期にありましたね。店舗数が急増する一方で、業界内での競争が激しさを増し、今後どのように差別化を図っていくのかが問われる時期だったと記憶しています。そうした中で、人事制度はやや時代に合わなくなっており、社員向けのガイドブックを拝見した際にも「少し分かりづらいな」という印象を受けました。
中尾 旧制度は、運用ルールがほとんど定められておらず、評価者ごとの判断に任される部分が多くなっていました。評価する側も評価される側もより満足度の高いもの、納得感のある制度をつくりたい思いがありました。もう一つの目的は、社員一人ひとりの成長を促すこと。ドラッグストア業界の競争が一段と厳しくなる中では、個々の力をいかに伸ばしていくかが重要だと考えており、そうした個の成長を後押しするような制度にしたいと考えました。
「等級」定義で意識に変化が見られる一方、「報酬」の課題が浮き彫りに
FMHR 武藤 今回のメインテーマである「運用」について話を移していきましょう。新制度の導入から1年半ほどが経ちましたが、実際に運用してみての率直な感想を教えてください。
狩野 新制度の成果としてまず挙げたいのは、等級制度を明確にできたことです。「どんな行動・成果をあげればその等級にふさわしいのか」を定義したことで、従業員一人ひとりが自分の現在地や、次に目指すステップを具体的に描けるようになりました。また、マネジャー職と専門職という複線型のキャリアパスを導入したことも大きな進歩です。特に薬剤師の専門職については、少しずつ制度が根づき、「専門性を高めて会社に貢献する」という意識が浸透してきています。
FMHR 武藤 薬剤師のように専門性が明確な職種では、プロフェッショナルとしてのキャリア意識が醸成されやすいですが、本部や物販の従業員の方の場合は「昇進=マネジャー職に就くこと」という意識がどうしても根強い。そのイメージをどう変えていくか――つまり「専門職としてのキャリアとは何か」を会社としてどう伝え、どう魅力づけていくかが今後の鍵になりますね。
中尾 物販の中でも、化粧品部門に関してはスペシャリスト(専門職)制度の導入が良い効果を生んでいます。もともと化粧品分野は当社の強みであり、他社との差別化が大きい領域なのですが、スペシャリスト制度を導入したことで従業員の意欲をさらに引き出すことができ、結果として売上も好調に推移しています。今後は「化粧品リーダー」という、スペシャリストの手前に位置する新しい役職を設けることも考えています。
FMHR 山田 スペシャリストやリーダーの定義の解像度をさらに上げていくと、そこを目指そうという人がさらに増えるかもしれませんね。また、“お客様に愛されるスタッフ”であるとか、化粧品に限らず専門職の方向性をより広げていける可能性もあると感じています。
中尾 確かにそうですね。一方で「報酬」の面で、いくつか課題が出てきています。例えば、一部において上位等級に昇格したのにもかかわらず、年収がさほど変わらない等といった齟齬が生じている。今まさにテーブルの設計を見直しているところです。
FMHR 山田 確かに「せっかく昇格したのに」というデモチが生じるのを避ける工夫は必要ですが、その一方で「ブロック長は店長より必ず上」という硬直した序列をつくるのも考えものです。地域のお客様に深く信頼されていたり、売上やチーム運営で卓越した成果をあげている人は、たとえポジション上は店長であっても、マネジャー職に匹敵する価値を発揮している。そうした人材をきちんと評価できる制度を複線型キャリアの中で設計するのがおすすめです。
中尾 なるほど……。こんな感じで、ついつい相談してしまう。すみませんね、今日は取材なのに。
FMHR 山田 いえいえ。ご遠慮なく何でもお話しください(笑)。
「評価」と「目標設定」の目線をどう合わせるか
FMHR 武藤 実はちょうど、先日、「評価」のことでご相談をいただいていました。順を追ってお話しすると、制度改定時から「マネジャー層の評価スキルをどう底上げするか」という課題認識がおありで、かなり実践的な形での評価者研修を我々のほうで設計させていただいたという経緯があります。
宮腰 そうですね。初回の評価者研修を実施していただき、動画としてもお納めいただきました。それを参考にして内製化にチャレンジし、今も継続して行っています。また、「評価される側も同じ目線を持つことが大切だ」という声が社内から上がったこともあって、被評価者に対しても同様の研修を実施しています。
狩野 ただ、評価者間の目線合わせがまだ十分にできていないのが課題です。研修を継続的に実施してはいるものの、相対評価ということもあって実際の運用ではまだ“甘辛”の差が出やすい。「評価」は制度の柱でもありますので、しっかり整えていく必要があると感じています。
FMHR 山田 物販、調剤、管理部門など、いろいろな機能があるからこそ、評価の目線を合わせるのが難しい。制度改定時にも各部門のマネジャー層の方々に説明を尽くしましたが、やはり運用フェーズでも目線合わせの努力は継続していく必要がありますね。
FMHR 武藤 そうした評価の課題と深く関わっているのが、「目標設定」かと思います。まさに現在進行形で御社からご相談をいただいているテーマでもありますが、現状どのようなところに難しさをお感じなのでしょうか。
宮腰 特に本部部門の目標設定が難しいと感じています。物販や調剤のように売上や数値で成果を測れる部門は定量的な目標を立てやすいのですが、本部は業務内容が多岐にわたるため、同じ等級内での比較が難しいんです。その結果、部署によって目標の数や基準がまちまちで統一が取れていないのが現状です。
FMHR 武藤 評価段階で目標設定の問題を指摘するのは、被評価者の不納得感につながる要因になりますので、期初の段階でいかに適切に目標を設定するかは重要な問題です。等級ごとに「どのレベルの業務を担ってほしいのか」を明確にし、部門ごとにその基準をすり合わせておく。そのうえで期末に評価する――という流れをつくる必要があります。
FMHR 山田 御社に限らず多くの企業に共通している課題ですよね。本来、MBO(目標管理制度)は組織の目標を個人の行動へと落とし込む仕組みのはずですが、実際には“人事評価のための目標”になってしまっているケースも多い。制度の本質を「人事評価」ではなく「事業推進の仕組み」として捉え直すことが、制度を生かす鍵になると思います。
制度導入後、“自走”しながらも気軽に相談できる関係性を構築
FMHR 武藤 制度運用のフェーズにおけるリアルなお悩みをお聞かせいただき、ありがとうございます。私どもとしても、「制度はつくって終わりではない」と常々考えているところではありますが、運用のしやすさも見据えた制度づくりの大切さを改めて感じました。今回の人事制度改定プロジェクト、そのアフターフォローも含めて振り返っていただき、FMHRの仕事ぶりについてお感じになったことを率直に教えていただけますでしょうか。
宮腰 私がまず挙げたいのは、評価者向けの研修教材として制作していただいた動画です。非常に分かりやすく、従業員にも好評でした。新任店長や薬局長はもちろん、新入社員研修でも活用しています。さらに、経営陣を中心とした評価会議の実施をご提案いただいたことも大きな転機になったと感じています。他部署の管理職や役員が他部門の評価を見るという仕組みは、最初は驚きましたが、今ではすっかり定着しています。部署を越えた視点が加わったことで、公平性が高まりました。
狩野 FMHRの他社事例の知見に大いに助けられたなと感じます。社内だけで議論していると視野が狭くなりがちですが、他社の取り組みを紹介してもらうことで視野が広がりました。また、経営層に説明するときにFMHRが橋渡し役になってくれたことで、議論がスムーズに進みました。成果物もきれいに整理して可視化していただいた点なども印象に残っています。
FMHR 山田 ありがとうございます。経営層との調整支援を評価していただけるのは嬉しいですね。生成AIの進化が著しいですが、“人と人の調整”はAIには代替できない。経営層の理解を得て制度を動かす、そういった部分にこそ私たちFMHRの価値があると信じています。
中尾 おっしゃる通りですね。私自身、FMHRの“人”の部分に助けられたなという思いが非常に強くあります。山田さんはどんな質問にも明確に答えてくださり、常に分かりやすくリードしてくださいました。武藤さんたちも、こちらの細かな要望に迅速に対応してくれました。制度導入後も運用面で悩んだときにはその都度相談をさせてもらい、まさに今回のようにいつも的確なアドバイスをもらっています。率直に申し上げて、価格面を含めて非常に満足度は高いです。
FMHR 山田 こうして運用を経た段階で、今のような言葉をお聞かせいただけるのは本当に嬉しいです。FMHRとしても顧客企業が自走しながらも気軽に相談できる関係を続けていくことを大切にしていますので、制度導入後も改善を重ねていける“土台”を築けたことは私たちにとっても大きな成果です。
中尾 今後は、制度をさらに定着させながら進化させていくことを目指しています。等級を細分化する動きも視野に入れながら、組織の実態に合わせた制度運用を進めていきたいと考えています。これからも様々なご相談をさせていただくことになるかと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
FMHR 武藤 こちらこそよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中ご協力いただき、ありがとうございました!
※内容およびプロフィールは取材当時のものです