解釈にバラつきがあった人事制度を抜本的に見直し
FMHR 山田 人事制度を見直す必要性を感じ始めた背景はどういったものでしたか?
古本 既存の制度をつくってから10年ほどが経過していて、その間にお客様の動向も変わり、社として店長やその他の店舗スタッフに求めるスキルもおのずと変化してきました。組織変更もあり、このタイミングで人事制度を見直すべきではないかと考えたんです。
松並 実際、既存の制度では教育や評価の際に難しさを感じるケースが多くなっていました。たとえば、店長は何をどこまでできる力が必要なのか。明確に言語化されていなかったので、個人の解釈によって評価にバラつきがあったり、できる・できない以上に、やる気があるかどうかが重視されたり。すごくミスマッチが起きていたのかな、と。
FMHR 山田 人事制度を再構築するにあたってFMHRに声をかけていただけたのは、どういった理由からでしょうか?
古本 古くから弊社に常駐してくださっているFMのコンサルタントの方がいて、弊社に対する理解が深かったことは一つの大きな理由ですね。
松並 教育研修でもすでにお世話になっていましたよね。講師の方が私どもに対して真剣に向き合ってくださったことは印象に強く残っていましたし、FMHRさんには圧倒的な信頼がありました。
FMHR 山田 ありがとうございます。プロジェクトが始まった当時を思い返せば、弊社グループのコンサルタントが築いてきた良いイメージを私が壊してはいけない、というプレッシャーがありました。期間にすると2018年の春から秋口まで、店舗スタッフの等級制度の整備、それから育成用、評価用それぞれのスキルマップ作成などを支援させていただいたわけですが、どんな感想を持たれていますか?
古本 山田さんの服装が徐々にカジュアルに(笑)。というのは冗談ですが、制度を練っていく段階で対話を繰り返していくうち、それまでは曖昧になっていたものを整理できた点がよかったなと思います。「こういう表現はどうですか」というご提案をいろいろといただきながら、「言いたかったのはそれだ」と腑に落ちることがたびたびありました。
FMHR 山田 最初に店舗スタッフの等級制度を決めるうえで、各グレードに対してどこまで遂行責任があるのか、あるいは結果責任があるのかを色付けしていきましたよね。その作業が、皆さんの中に何となくあったものに線引きをし、きちんと整理することにつながったのだと思います。
松並 私がよく覚えているのは、その次のスキルマップをつくる作業ですね。3週間ほどもかけて、店舗における業務を行動ベースで落とし込んでいくことに取り組んだのですが、それがすごく難しかった。一つの業務のレベル感に対する感覚に、私も含めて4人いたメンバーでだいぶ違いがあって、「だから各店長がつくるお店のレベルにも違いが出てきているんだな」ということがわかってきたり。単にスキルマップをつくるという本来の目的だけでなく、採用や教育などの部分でどこに問題があったのかを振り返る機会になりましたし、その後、教育プランを検討する際もスムーズに考えられました。
FMHR 野崎 そのスキルマップも、最初はヒト・モノ・カネの軸で分けて整理しようとされていたところを、弊社からの提案で店舗マネジメントの軸に切り替えていただいたんですよね。
松並 その点もよかったなと思います。ちょうど今年(2019年)から要員計画を見直したところで、店長やシニアビューティーアドバイザーといったマネジメント層に位置する人材が4~5名いる店舗も出てきました。1、2年目のスタッフならレベル感の差が明らかですが、ランクが高くなるとそれぞれの能力差が見えづらくなってくる。そういった時にスキルマップを活用することで、お店の中でのタテの関係をより明確にすることができるようになった。マネジメントがしやすくなったな、と効果を実感しています。
FMHR 山田 私としては、このプロジェクトの前に、SABON様でSV(スーパーバイザー)強化支援のお仕事をさせていただいた経験が役に立ったと感じています。都内にある複数の店舗を回らせていただいて、バックヤードも含め現場での人の動きや仕事の仕方を実際に目にする機会があったので、具体的にイメージできました。