CASE

CCCマーケティング株式会社

マインドセットから知識装着まで―― 思考を促す管理職研修の成果とは

最大の成果は、共通言語で話せるようになったこと

取締役

彦坂 理枝子

社内の至るところでマネジメントに関する会話が

人事総務 EX推進

瀧澤 伸介

「Tポイント」と膨大なデータベースを基盤に事業を展開するCCCマーケティング。 2020年、さらなる成長に向け、マネージャー層を対象とした研修を実施した。 参加者は何を学び、どう変わったか。ともに研修を作りあげた4人が振り返る。

上長とメンバーの関係性社内調査で浮き彫りに

FMHR 金子 はじめに、御社のプロフィールと管理職向けの研修を実施するに至った背景からお話しいただけますか?

彦坂 弊社はカルチュア・コンビニエンス・クラブの連結グループ会社の一つ。国内最大の共通ポイントである「Tポイント」や、そこで蓄積されるデータベース(DB)を活用したマーケティング事業を中心に展開しています。社内でeNPS(従業員ロイヤルティを数値化した指標)を測る調査を行った際、その結果から、上長とメンバーの関係性に課題があることが見えてきました。たとえば評価であったり、コミュニケーションの部分であったり。そこで、メンバー直属の上長に当たるユニットリーダー層に対して、何らかの気づきのきっかけとなるような機会をつくりたいと考えたんです。

FMHR 金子 最初は前任者の方とお話をさせていただいておりましたが、エグゼクティブ層へのコーチングや教育体系の構築なども検討議題に挙がっていて、真の課題は何かを探っているような段階でした。

彦坂 前任者から引き継ぐことになったのですが、私も瀧澤も、全く異なる部署から人事セクションに異動になったばかりで……。

FMHR 山田 お二人とも悩みが深そうなご様子だったのを覚えています。

彦坂 ええ。そういう状態でFMHRさんのオフィスを初めてご訪問させていただいた際、山田さんがホワイトボードにいろいろとフラットなご意見を書いてくださったんですよね。ごちゃごちゃだった頭の中が整理されていく感覚があって、それ以来「的確なご助言をいただける。頼りにさせていただこう!」と。

瀧澤 教育体系をつくる方向性に傾いていた時期もありましたが、網羅的に平均点を上げる施策より、次世代のリーダーを担う中核の人材育成に注力すべきではないか、というご意見をいただいて。まずそこからやっていこう、というアクションにつながりました。

彦坂 FMHRさんとの出会いがなければ、延々と悩んでいたかもしれませんね。

FMHR 金子 研修の実施にあたって、他のコンサルティング会社にもご相談はされたのでしょうか。

瀧澤 はい。もう一社、全く同じ内容で相談させていただきました。弊社の課題にぴったり合っていると感じたのが、FMHRさんからのご提案。見た瞬間に「こっちだな」と。

FMHR 金子 ありがとうございます!

新任から既任へと拡張 気づきを与え合う研修に

FMHR 金子 当初の研修は、新任管理職のみを対象としたものでしたね。

彦坂 全管理職となると人数が多いですし、やはり今まさにリーダーになるというタイミングで実施するのが最も効果的だろうと考えたからです。ユニットリーダーに新たに着任した20名ほどを対象に、研修を行うことにしました。

FMHR 金子 一般的な評価者研修では、評価者としての知識やスキルの装着がメインになりますが、今回のケースでは、CCCマーケティング様のご要望も踏まえ「マネジメントとは何か」「マネージャーにはどんな役割が求められるか」といったマインドセットの部分からスタートしました。たとえば「イケてるマネージャーとそうでないマネージャーの違いとは?」などの問いを用意して議論していただいたり、知識装着のところはクイズ形式にして解いていただいたりしましたね。

FMHR 山田 こうした研修を行う場合、私どもは常に「ワンウェイにならないこと」を心がけているんです。一方的に紋切型のお話をするだけでは「そんなの知ってるよ」と思われてしまいますから。皆さんに問いを投げかけ、自分で考えたり、グループディスカッションしたりしながら答えを出してもらう。

彦坂 そこが良かったですね。他者の声を聞くことで自分の考えとの違いが明確になりますし、日常の業務ではなかなか接点を持てないマネージャー同士のコミュニケーションの場にもなりました。

瀧澤 そういう機会が定期的にあるわけではないので、参加者はすごく新鮮だったと思います。お互いに気づきを与え合っている様子は、私自身にとっても印象的でしたね。

FMHR 金子 部下の目標設定を見せ合う時間を設けたときも、自分が書いた目標設定に目を落としながら「この書き方じゃダメだ。もっと具体性を持たせないと」と気づいておられる方もいらっしゃいました。さて新任管理職を対象とした研修の数カ月後には、50名近い既任管理職向けの研修も実施することになりました。

彦坂 新任以外のマネージャー層にも同様のことをインプットすべきだろうとの考えから、対象者を拡張したんです。

FMHR 山田 新任の方は研修を素直に受け入れてくださるだろうとある程度予想できましたが、後半の既任管理職向けの研修に関しては、実は少し心配していました。CCCマーケティング様はプロフェッショナルの方が多い企画会社。人材は自力で育つべきとの考えをお持ちの方、育成や評価に対して冷めた見方をしている方が多いのではないか、と……。でも実際にやってみると、皆さんすごく真剣に取り組んでくださいましたね。積極的に質問してこられる方もいて、良い意味で先入観を覆されました。

瀧澤 他社でマネージャーとして長くやってきたキャリアがありながら弊社では新任管理職として研修に参加した者もいて、私も「大丈夫かな」と気にしていました。でも、彼の感想文を読むと「今まで受けてきた管理職研修の中でいちばんタメになった」と書いてありました。

彦坂 研修を通して気づきを得たという声は多かったですね。私としては、ユニットリーダー全員が同じインプットを受けたことで共通言語で話せるようになったことが最大の成果かなと感じています。土台の認識の部分でバラつきがあると、異動の前後で上司が言っていることが違ったりという問題が出てきますが、そこが解消されたのはよかったな、と。

育成への意識が向上 現場での活用報告も

FMHR 金子 研修の成果として、その後、どのような変化が見られますか?

瀧澤 定量的に測るのが難しい部分ですが、社内の至るところでマネジメントやリーダーシップに関する会話が生まれるようになったなと感じています。育成に対する関心も各部署で高まっていますし、施策として実行もされていますね。

彦坂 研修で得た知識や視点を自分なりに解釈して、実際のマネジメントに生かしているという報告をしてくれるユニットリーダーも出てきています。そういった動きは歓迎ですから、私たちとしてもどんどん後押ししていきたいなと思っています。

FMHR 金子 今後のさらなる課題としては、どのようなことが考えられますか。

彦坂 弊社は、TポイントとDBに続く“第3の事業”を創出することで再成長期へと向かっていこうと奮起しているところ。それを実現するための組織と人材をどうつくるか、その戦略編成をどうデザインするかが目下の課題です。考えられる施策はいくつかありますので、FMHRさんにはまた頭の整理のお手伝いをいただくことになるかもしれません。

瀧澤 これも山田さんのお話を聞いて痛感したことなのですが、近年、働く人の価値観は急速に変わってきていますよね。会社として変えてはいけない部分を見極めつつ、世の中の変化を常に意識し、トレンドに後れをとることなく適応していきたいなと思っています。

FMHR 山田 何か迷うことがあれば、遠慮なくご相談いただければ幸いです。でも、今回のお話を伺っていると、お二人とも初めてお会いしたころに比べて格段に悩みが晴れているなと感じました。やるべきことはある程度見えていますよね。

彦坂 そうですね。全くと言っていいほど経験のなかった私たちが、この1年数カ月の間に、人事の領域について自分の言葉で語れるようになってきました。これもまた、FMHRさんとの出会いを経て大きく変わった部分だと思います。

※内容およびプロフィールは取材当時のものです