CASE

株式会社マクロミル

次世代経営リーダー育成へ。選抜15名と共に歩んだ6カ月

研修を、社員全体の積極性を引き出す舞台装置にしたい

人事本部 人事企画ユニット長

森澤 隆行

受講者と講師の間に信頼関係ができていた

人事本部 人事企画ユニット

田澤 美智子

1回限りの「点」ではなく「線」をつくることが大事

人事本部 人事企画ユニット

色摩 あゆみ

マーケティングリサーチを主事業とするマクロミルで、次世代リーダーを育成する長期研修が実施された。 将来を嘱望される若手社員たちは何を学び、どう変わったか。 研修の企画運営に携わった5人が振り返る。

“部門のエース”に。研修で新たな視野を

FMHR 金田 このたび、御社における次世代経営リーダーの育成を私どもがご支援させていただいたわけですが、そうした取り組みに至った背景の部分から、まずご説明いただけますでしょうか。

田澤 弊社としましては、マネージャー陣のハイポテンシャル層が薄くなりつつあるという課題があり、社の成長のためには次の経営層を担う人材を長期的に育成していくべきだと考えておりました。そこで、マネージャー一歩手前の若手社員を選抜して研修に取り組んでもらうことにしたんです。該当のメンバーたちはいわば部門のエースで、日々忙殺され、視野が狭くなりがち。研修という形で日常の業務から少し離れることで視野が広がりますし、新たなやりがいを見つけることにもつながる。優秀な人材を流出させないリテンション施策の一つという意味合いもありました。

FMHR 金田 研修を行うにあたり、弊社FMHR を選んでいただけた理由は何だったのでしょうか。他社も含めてのコンペだったと記憶しておりますが。

田澤 今回の研修は、インプット重視ではなく、受講者自らが考えてアウトプットすることが目的。FMHR さんのご提案には、コーチ役のコンサルタントからの定期的なフィードバックが盛り込まれていて、そこが一番の決め手になりましたね。自分が属する部門に特化して働いている社員が、第三者的な立場からざっくばらんにフィードバックをいただける機会はなかなかありませんので。

森澤 人が育つまでには時間がかかるもので、短期間で詰め込む研修で成果を得るのは難しい。その点、FMHR さんからいただいたご提案は、長期間にわたり接点を持ちながら、じわじわと知見を身につけさせていく内容でした。田澤と議論したうえで「これならうまくいきそうだね」という結論に達しました。

FMHR 山田 ありがとうございます。皆さまの熱量の大きさはご提案の段階からひしひしと感じていました。それに応えるためにも、効果のあるものをご提案したいなと思っていました。

選抜された15名と共に「事務局側も磨かれた」

FMHR 金田 「 10 年かけて取り組みたい」というお話を伺ったときには痺れましたね。選抜された15 名がいろいろな課題に取り組みながら、最後に執行役員に対して中期経営計画の発表を行うというプログラムでしたが、ご感想としてはいかがでしょうか。

色摩 私は途中からサポートという形で関わらせていただきましたが、レイヤーや在籍年数が受講者と近いこともあり、皆さんがどう感じているかを理解しやすい立場だったかと思います。まず企画段階で、事前課題の多さについて「こんなに出して大丈夫か」という議論がありましたが、実際に皆さんが取り組んでいる姿勢を見ると、そうしたハードルを最初に設けたことが結果的に主体性のスイッチを入れる仕掛けになったのかなと感じました。また他部署の、違う領域で専門性を持った社員との接点を持てたところもよかったですね。自分の強み、あるいは足りない点など、客観的に把握する良い機会になったと思います。

田澤 6カ月という長期間で、受講者と講師の山田さんとの間に信頼関係ができたことも大きかったですね。最後にクローズドの個別面談も実施していただきましたが、それぞれのキャリアにつながる示唆をいただけたようでした。

FMHR 山田 お世辞抜きに、御社のメンバーの方々はかなりレベルが高かったです。毎回、こちらとしても緊張感がありました。例えば財務をテーマにした回がありましたが、「本当に初めてですか?」と言いたくなるほどアウトプットの質が高くて。

田澤 財務に関しては、皆さんもともと興味があり、ビジネススキルとして必要なんだという認識は持っていました。ただ、自発的に勉強するのはハードルが高い。そういう意味では、研修がいいきっかけになったようですね。

FMHR 山田 リサーチを本業としているからなのか、いろいろな数字を見たときの着眼点が素晴らしいんですよ。さすが厳選されたメンバーだな、と。

森澤 当初は30 名を対象にしたいと考えていましたが、御社からの助言もあり、効果を最大限に引き出すために15名に絞り込むことにしました。そうなったとき、人事本部としてはどういう基準で選ぶのか、各本部はどういう基準で選んでほしいと考えているのか。人事本部内や各本部長との間で議論を重ねましたし、選抜された15 名に対して社長からのメッセージを伝える企画も行いました。初めてで手探りの部分もありましたが、FMHR さんにすべてお任せするのではなく、人事本部、特に田澤と色摩が可能な限り関わり合いながら進めていくことで、私たち事務局側も磨かれたなという印象がありますね。

FMHR 山田 皆さんレベルが高いだけではなく、真摯な姿勢で向き合っていただけました。最後の個別面談のときも、かなり突っ込んでアドバイスさせていただきましたが、本当に素直に耳を傾けていただけて、ありがたかったです。

研修での学びを早速活用。今後は“卒業生”の連携を

FMHR 金田 研修の成果として実感されることは何かありますか?

田澤 このままマクロミルで頑張っていくべきなのか、ちょうどキャリアに悩んでいた者もいましたが、研修を経て「ここでもっとやれることがある」という気づきを得ていたのは、一つ直接的な効果だったと思います。また、研修後にマネージャーに昇格した受講者もいるのですが、それこそ財務や組織運営、戦略策定など、学んだビジネススキルを早速活かせているという声も聞いています。

FMHR 山田 成長戦略を描くというテーマでそれぞれに中期経営計画をつくっていただいたのですが、これまでおぼろげながらイメージしていたことを、具体的なビジネスモデルとして組み上げていく経験を通して、将来的なビジョンの解像度が高くなったのではないかと思います。

田澤 おっしゃる通りですね。「もっと突っ込んだテーマ設定でやってみたい」「山田さんから事例の話をもっと聞きたい」と話している者もいて、もともと持っていた意欲にさらに火がついたのかなと感じます。

FMHR 山田 それを引き出したのは、中計のプレゼンを受ける側である執行役員の皆さんでもありますよね。聞く側に真剣さが足りないケースも往々にしてあるんです。でも御社の役員は、受講者の発表を我がことのように受け止め、いいフィードバックをされていました。「もう少しアグレッシブな提案を期待していた」とコメントされた方がいましたが、そこですぐ「自分たちが夢を見せられていないのかな」と呟かれていたのが印象的でした。

FMHR 金田 今後、どういった展開につなげていきたいとお考えでしょうか。

田澤 受講者に対するジョブアサインなど、引き続き育成の目線を持って対峙していく必要がありますし、弊社の評価制度ともうまく接続していくことがこれからの課題になってくるかと思います。

色摩 森澤、田澤からバトンを引き継いで、今後は私のほうでいろいろなことを進めていきたいと思っています。1 回の取り組みだけで終わらせては、当初から掲げている10 年後につながっていかない。「点」ではなく「線」をつくることを大事にしていきたいですね。

森澤 2 年に1 回くらいのペースで実施したいと考えています。10 年の間に5回、各回15 名だとすれば、計75 名が研修を受けたことになる。そうした“卒業生”たちが連携できるようにしたり、「あの研修を受けたい」と考える社員が出てくるようにしたり。社員全体の積極性、主体性を引き出すような舞台装置として研修を活用できたらいいなと思っています。

FMHR 山田 第1 期の卒業生が、第2 期生のメンターのような役割を担うというのもおもしろいですよね。同じ悩みを共有でき、かつその乗り越え方を教えられるはずです。また機会がありましたら、ぜひお力添えさせていただければ幸いです。

*内容およびプロフィールは取材当時のものです